伝えるということ⑨

ある日、

雪がたくさん降ったとても寒い日のこと、

 

2人でピアノ教室に行きました。

 

先生のお庭が綺麗な氷の世界。

 

中には葉っぱの形の氷が出来ていたり、

大きなつららもありました。

 

はるちゃんが、

「あれも、これも、綺麗ね!」

はしゃぎながら嬉しそうに集めます。

 

「壊れないようこれ持っててね!

絶対落としたり壊したらダメだからね!」

 

そう言って、綺麗な氷を、

小さな私の両手にのせていきました。

 

みっつ、

よっつ、

いつつ、

・・・

 

手袋もしていなかったから

冷たくて痛くて、涙が出るほど辛くて、

 

「いつまでとるの?」と聞きますが、

 

彼女は聞く耳を持ちません。

 

どんどん増えていきます。

 

先生が私たちを呼ぶ気配もありません。

 

10個くらい持たされて、

手のひらにのせきれず、

感覚がなくなりつつあったので、

 

腕に抱えるようにして、

もちかえようとしました。

 

でも、上手くいかず

ガシャン!!と

全部落としてしまいました。

 

正確には、痛すぎて、

わざと落としたのだと思います。

 

はるちゃんは、振り返って

「がっちゃん!なんしよると!!!

もぉっ!せっかく集めたのに!!ひどい!」

私を怒鳴ります。

 

私は泣きながら

「だってもう冷たくて持てない・・」

と珍しく訴えました。

 

「なんでよっ!できるでしょっ!!!

もうがっちゃんなんて知らない!絶交よ!」

 

私は要求に応えられず、

絶交されてしまいました。

 

でももう疲れ果てていたので、

 

絶交でもいいや。

絶交されてグループの子たちからも

口きいてもらえなくても、

もうこんな辛いことは嫌だ。

 

そう思っていました。

 

つづく