伝えるということ⑧

“はるちゃん”

 

はるちゃんは私のことを

苗字の一文字をとって

“がっちゃん”と呼んでました。

 

私はそれが嫌だったけど、

なっちゃんはもういるから、

私がっちゃんって呼ぶね!」

 

ある日そう決められて、

グループの子たちも

“がっちゃん”と呼びました。

 

なにそれ。

“がっちゃん”なんて全然可愛くない。

だけど、決められたので、

まぁいいやと思いました。

 

はるちゃんは多分私のことが好きでした。

 

だからすぐ友達になろうと言ってきたのだと思います。

 

でも私の望む“友達”ではなくて

何故だか要求がとても多い友達でした。

 

登校するときに迎えに来て一緒に行って欲しい。

学校が終わったら早く遊びたいから、往復五分で走ってきて戻ってきてね。

朝一の漢字の書き取りの進み具合が一緒じゃないと嫌。

同じピアノ教室に通って欲しい。

“えみちゃん”とは口をきかないで。

 

その要求を一生懸命聞きました。

 

応えられなかったら絶交すると言われることもありました。

 

蹴られることもありました。

 

グループから除け者にされたりもしました。

 

要求は到底守れないものもありましたが、

誠意を見せることで許してもらえました。

 

私が守れないと、

はるちゃんはとても怒るし悲しんだので、

出来るだけ応えました。

 

せっかく私と、

「友達になりたい」と言ってくれた女の子。

 

要求に応えてあげたい気持ちがありました。

どこか喜ばせてあげたかったのです。

 

つづく