伝えるということ24

結婚に踏み切れない理由は、

実はまだ他にもありました。

 

彼は私の11個年上で、

結婚願望がとても強い人でした。

 

かなり焦っていて、

友達や同僚が結婚するたび、

『あいつでも結婚できるのに、何で俺はまだ出来ないんだ』

とこぼしていました。

 

できちゃった婚でもいい

なんてこともたまに言っていて、

 

避妊の話をする時もやや不満そうでした。

 

 

2人で決める大切なことなのに・・

 

 

博学で優しくてとても頼りがいがある彼が大好きだったけど、

 

実は、彼は私と結婚したいのではなくて、

 

自分のことを好きだと言ってくれる人なら、

自分の子供を産みたいと言ってくれる人なら、

他の人でもいいんじゃないの?

という疑問もありました。

 

今思えば、

それはきっとお互いにあったのではないか思います。

 

2人の間にあるそういう気持ちを見つけて、

なんだか打算的だなと感じました。

 

人ってそういうものなのかな。

なんか、嫌だな。。とも感じました。

 

それでも、私にとって貴重な人に変わりありません。

 

見つけたけど、

知らんぷりし続けました。

 

結論はまだ出さなくていいのだから。

そう考えていました。

 

 

転勤から4〜5ヶ月たった頃、

毎日の電話で、時折、長い沈黙がおとずれるようになりました。

 

今思うと彼は、

部屋で1人、人生が進まない焦りを

どんどん強くしていったのでしょうか。

 

 

『俺のこと、本当に好きなの?』

『結婚しよう?』

何度かそう言われて、

 

「うん。好きだよ。」

「いいよ。結婚しよう。」

そう答えました。

 

彼は、

『ありがとう。』

と言いました。

 

 

 

でも、その数日後に、

『もう、別れようか。』

と言われました。

 

 

 

離れて過ごした期間は半年。

彼にとっての半年と、

私にとっての半年は、

全然違うものだったんだと思いました。

 

 

私は別れたくありませんでした。

 

でも、結婚を決断することはできなかったので、

 

ああ、それが自分の答えなんだと知り、

 

まだどこか自分への疑問が残るまま、

別れを受け入れる形になりました。

 

彼の前でもたくさん泣いてしまいました。

 

 

人と人はこんなに近づいたと思っても、

 

また、別れて、離れて、

出会う前のように、

他人になり、

 

また何事もなかったかのように

日常を過ごすようになるのか。

 

信じられませんでした。

 

あんなに私の一部だった彼の存在が、

もう二度と会うことも無くなるなんて。

 

初めての体験する“別れ”から

初めて味わう感情にしばらく翻弄され続けました。

 

家族が別離した時のそれとは、

また違う悲しみでした。

 

 

つづく