伝えるということ⑥

小学校は幼稚園時代より、もっと人数が多くて、もっと広くて歩いて通わなくちゃいけなくて心細く感じました。

 

何をするのも周りを見てゆっくり判断していたから、行動は遅かったけれど、

でも勉強は好きでした。

 

私の隣の席になったのは

“のなかくん”という坊主頭の男の子でした。

 

おしっこの匂いがする子でえらそうで

あまり好きではありませんでした。

 

隣り合わせになった初日に

なぜか私の机に鉛筆で

びーっと線を引き始めました。

 

何の線だろう?なんか嫌な気持ち・・

 

ぼんやり眺めていたら

「俺はここまで使うんだから、

お前はこの線から絶対出るなよ!」

と言います。

 

ん?なんで?

ムカッとしました。

 

『理不尽』

 

きっとそう思っていたはずです。

 

かなり内側に引かれた線なので、

ちょっとしたことで、肘が線からはみでてしまいます。

 

その度に私は“のなかくん”に怒られます。

 

「出るなっていいよろーが!」

 

叩かれたこともあったと思います。

 

よくわからないけど、

出来るだけ我慢していうことを聞きました。

 

なんか、嫌な人たちが多いなぁ

 

家庭では大事にされている分、

 

私に無関心な子供達や

意地悪をする子供達や

発表したらくすくす笑う子達

どの子も仲良くなりたいと思いませんでした。

 

お友達はいなかったけど、

休み時間はなんとなく本を読んだり、

 

校庭で遊んでいました。

 

そのうちに

あやとびとかかたらせてもらったけど、

できなかったら恥ずかしくてとても嫌な気持ちになったり

 

ごっこで、追いかけるのも追いかけられるのも好きじゃなくて

 

楽しくするのは難しいと思いました。

 

日々の登下校は、

他の子たちよりも学校から距離があったので、

最後はいつも1人でした。

 

ある日、

いつものように、

虫を探したり、花をとったりしながら

ゆっくりゆっくり帰っていたら、

 

ガシッと腕を掴む男の人

 

知らない人です。

 

花びらをパラリと落とし、

じっと見つめると

 

『遊びに行かない?』と言います。

 

そういえば、

 

知らない人について行ってはいけません。

 

あそこの公園で“チカン”が出たそうです。

 

気をつけるように!

 

そんなこと言ってた。。😨

 

こ、こわい!

 

 

カタカタと震えながら、

 

「行きませんっ」

 

バシッと腕を振り払い

全力で駆け出しました。

 

後ろは一切見ないで、

もうこれ以上走れない💦

というところまで走り続けたら、

 

男の人は付いてきていませんでした。

 

 

なんか、なんか、

家を一歩出たら怖いことがたくさんある。

 

私何かしたっけ?

何も悪いことしてないよね?

 

なんでこんな嫌なことが起こるんだろ?

 

だんだん自分を取り巻く社会に

因果というものがあるだろうか?

 

といったような疑問を持ち始めるようになりました。

 

つづく